2009年5月6日水曜日


薄れてゆく意識と暗闇 

そのまましばらくして、いつもと違うもう一つの事に気が付き始めた。

「身体のどこそこ」でなく、自分全体が「ゆっくりと冷え始めているらしい」という事だ。

薄れてゆく意識と暗闇の中で、それは次第に「このまま死んで行くのではないか。」と言う確信のようなものに変わり、呼吸自体が、有るか無きかになるにつれそれは「確信」=「諦観」と成りつつあった。               
「沈む」のでなく、自分自身が湖の暗く冷たい湖水に変わって行くようなのだ。

 「苦しみ」は全くなく、「人は、こうして死んで行くんだ。」と、そこへ自分がゆっくりと自然な感じで下ってゆくとさえ感じられた。

 長い闘病のしんどさもあってか、そのまま意識を失ってゆくのも「至極楽かな。」とさえも思った。